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介護離職はできるだけ避けよう

2019年07月29日
介護離職はできるだけ避けよう

わが国は世界の中で最も高齢化が進む国の一つ。それだけに、他の国ではまだ経験していない問題が生まれてきます。近年、働く世代からのご相談の中で、親の介護に関する悩みが目立つようになりました。働く世代にとって、自分の老後は不安かもしれませんが、まだ先の問題。一方で自分の親の老後は目の前の問題なのです。


2022年以降後期高齢者が激増する

わが国の人口は減少を続けています。2017年の人口は約1億2670万人。人口のピークだった2010年前後は1億2800万人を超えていましたので、すでに100万人以上減少しています。とは言え「人口が減った」と実感している人は少ないでしょう。人口の減少幅も1%程度ですし、海外からの旅行者も増加しています。かえって街がにぎやかになったと感じているのではないでしょうか。

人口の減少はこれから本格化します。10年ちょっと経った2030年には約1億1912万人と1億2000万人を割り込む見込みです。ピークから見ると約900万人の減少です。これはさすがに人が減ったと実感するレベルでしょう。

ただ、年代別にみると、様子が変わってきます。全体の人口の減少が続く中、65歳以上の高齢者は増加を続けます。2017年には3516万人でしたが、2030年には3716万人とほぼ200万人増えると予測されています。さらにその後も増加を続け2042年ごろにピークを迎え3935万人程度にまで達するというのです。

さらに問題なのはこの高齢者の年齢内訳です。65歳から74歳までの高齢者は前期高齢者と呼ばれます。この時期の高齢者は今後横ばい傾向が続きますが、高齢化の影響で75歳以上の“後期高齢者”が激増していくのです。特に2022年以降には団塊の世代の方が後期高齢者になっていくため、この期間に大幅な増加をしていくのです。


75歳以上になると要介護認定を受ける人が急増する

私たちは40歳になると私たちが介護状態になったときに助けてくれる公的介護保険に加入します。40歳から65歳になるまでは第2号被保険者として加入しています。

まだ若いのに介護保険?と思われる方もいるかもしれませんが、若くても老化を起因とした病気(がん(末期)や脳血管疾患などの16の特定疾病)で要介護(要支援)状態になった場合には、給付を受けることが可能です。

一方で65歳以上の高齢者は介護保険の第1号被保険者として加入します。要介護(要支援)かどうかは、要支援1~2、要介護1~5の7段階で認定されます。要支援1は少し支援が必要な程度のもっとも軽い状態で、要介護5になると寝たきりのような全面介護が必要な非常に重い状態です。

厚生労働省の「公的介護給付費等実態調査報告(平成29年)」などから、年代別に要介護(要支援)認定を受けた人の割合を試算してみました。

恐らく多くの方の予想通り、45~64歳までの第2号被保険者の方は認定を受ける割合が0.3%ととても低い割合です。自分のために加入するというより、高齢者を支えるために加入している様子が分かります。

一方で、65歳から5歳きざみで認定割合を見ていくと、本格的に割合が大きくなっていく様子がわかります。特に75~79歳では9.0%と11人に1人の割合に。80~84歳では20.4%と5人に1人の割合と大幅に割合が大きくなっていく様子が分かります。このように介護は75歳以上から急激に大きくなっていく問題なのです。

<図表1>年齢帯ごとの要介護認定者の割合

年齢帯ごとの要介護認定者の割合

厚生労働省「介護給付費等実態調査報告(平成29年度)」
国立社会保障人口問題研究所「人口統計資料集」より試算


40代、50代の働き盛りに親の介護問題がやってくる

75歳というと、25歳で子どもを生んでいれば子どもは50歳、30歳で生んでいれば子どもは45歳です。つまり、40代半ば以降、親の介護が増えていくことになります。

実際に介護をしながら働いている人の割合を見ると、45歳以降に急増していくことがわかります。ピークは55~59歳の年代。この年代は男性約9%、女性約16%の人が親の介護をしながら働いています。親が80歳代になっている世代です。

<図表2>働きながら介護をしている人の割合

働きながら介護をしている人の割合

厚生労働省「平成29年就業構造基本調査」より作成

親が近くに住んでいたり、同居していれば、まだ介護をしやすいかもしれません。それでも、夫婦で共働きとなると、介護の負担は重いものでしょう。ましてや、遠く離れて暮らしていれば、介護のしようがないこともあるでしょう。

どうしても親の介護をすることができなければ、高齢者介護施設に入ってもらうことになるかもしれません。その場合は、プロに任せることになるのですから、費用が心配になります。

公的な特別養護老人ホームに入所できれば、一時入居金も必要ありませんし、月々の費用もそれほど大きな額にはなりません。それだけに、希望者が多く順番待ちになる可能性が高く、希望しても入所できないことも多くなります。

そうなれば、民間の老人ホームに入所することも考えるでしょう。民間の施設の場合、一般的に数百万円以上の一時入居金が必要となります。また、月々の費用も高くなりがちです。ある程度のお金を準備していなければ、入所することができないのです。


それでも介護離職は避けたい

自分で介護するにも仕事との両立が難しい。施設に入ってもらうにも、お金が…。となると選択しがちなのが“介護離職”です。介護に専念しよう、もしくはもっと時間が自由になる仕事に就こうと、現在の仕事を辞めてしまうことです。

親の介護が多くなる年代は45歳以降のシニア世代です。この年代になって、仕事を辞めてしまったら、現在と同等の収入を得ることができる仕事を見つけるのは至難のわざ。ましてや、親の介護をするために、時間が自由になる仕事に限定すると、もっと仕事を見つけることが難しくなります。将来、親の介護が終わった後に再就職しようとしても、さらに年齢が高くなっているのでもっと仕事がありません。

「親の面倒を見たい」と言う気持ちは間違いではありませんし、尊重すべきだと思います。ですが、親の介護のために離職することは、家計の崩壊を招きやすく、家計の相談を受ける立場からは、できるだけ避けて欲しいのです。


専門家の助けを借りよう

もしも、親の介護が現実のものになったなら、まずは親が住んでいる地元の相談窓口へ相談しましょう。

①市区町村の相談窓口
各市区町村は介護保険の相談や要介護認定の受付をする窓口があるはずです。「高齢者福祉課」「介護保険課」といった名称の部署があるはずです。まずはこちらに相談してみましょう。

②地域包括支援センター
市区町村で相談したらこの地域包括支援センターを紹介してくれるはずです。高齢者の地域での暮らしを支援するための組織で、市区町村が設置している機関です。社会福祉士、ケアマネージャー、保健師等によるチームが各関連機関と連携を取りながらサポートしてくれます。

くれぐれも自分の家の問題と考え、自分たちだけで解決しようとしないことです。上記以外でも心強い専門家がサポートしてくれるはずです。すぐに離職するという決断をせず、まずは専門家の助けを借りてみましょう。


民間の介護保険もあるが、親の介護には使いにくい

リスクを回避するには保険に加入しておくことも検討したいところです。介護に備える保険はそのままズバリで「介護保険」と言う名称で販売されています。

民間の介護保険には一時金タイプと年金タイプがあります。最近は公的介護保険の要介護認定を受けた場合に、その認定に連動して給付を受けられる保険が増えています。たとえば要介護3以上に認定されれば給付金を受け取れるといった形です。この基準が低くなるほど給付金を受け取りやすくなりますが、一方で保険料が高くなりやすいので注意が必要です。

今回取り上げた問題は、自分の介護ではなく親の介護。一般的には年齢が上がるほど、加入できる保険は少なくなります。介護保険も例外ではなく、高齢になるほど加入できる保険は少なくなります。それでも保険会社によっては、80歳代でも加入できる保険会社もありますし、少額短期保険会社の中には100歳まで加入できる保険会社もあります。当然ながら、加入時の年齢が高くなるほど保険料は高くなります。それならば貯蓄で対応するのか、やっぱり保険に加入するのか、慎重に検討しましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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