トップ > 保険通信 > プロがお届け! お役立ちコラム > 人生100年時代~健康保険はどうなる?
保険通信 - プロがお届け! お役立ちコラム

人生100年時代~健康保険はどうなる?

2018年08月24日
人生100年時代~健康保険はどうなる?

人生はもはや100年時代と言われるようになりました。ここに来て人生が一気に長くなった感もありますが、2016年に発売されベストセラーとなった「LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)」がもとになっている動きです。この本の中では2007年に生まれた日本人は半数が107歳まで生きると書かれています。本当にここまで生きるかどうかは分かりませんが、今後も私たちの寿命や余命は延びていく傾向があることは言えそうです。人生を85年として考える時代は終わり、90歳、95歳と長めに考えた方がよさそうです。今回は人生100年時代を迎えるにあたり、私たちが医療保険に加入する際に前提としている健康保険制度が、どのように変化していきそうなのか考えてみましょう。


高齢者と支え手のバランスが崩れていく

長寿になることは本来めでたいことであり、よろこぶべきことです。ところが、お金の話となると問題が多く発生します。個人の家計としても、自分の寿命が尽きる前に、お金が尽きる可能性が高くなってしまいます。

同じような現象が国単位でも起こります。団塊の世代が70歳代に入り、今後2020年代には75歳を超え後期高齢者となっていきます。健康保険は、一人当たりの給付額を見ると高齢になるほど高くなるのが一般的です。一方で健康保険制度を支える税金や社会保険料は働いて収入を得る若い層が中心として払います。

20歳~64歳までの人を支える人、65歳以上の人を高齢者とすると、2015年時点では67.8%:32.2%とおおむね2:1の割合です。この比率が2045年には56.9%:43.1%と大きく崩れます。給付を多く受ける高齢者が増え、それを支える若い層が減ることで、健康保険財政が今後どんどん厳しくなっていくことが予想されます。

こうした問題に対し財務省は「新たな財政健全化計画等に関する建議」を出しました。この建議の中には、社会保障改革や地方行政の効率化などに対して、さまざまな方向性が示されています。中でも健康保険改革は多くのページを割いています。今後、健康保険制度はどのように変わっていきそうなのか、この建議の中から主なポイントを確認していきましょう。

<図表>高齢者と支え手の比率の推移

<図表>高齢者と支え手の比率の推移

国立社会保障人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」


後期高齢者の負担は1割⇒2割に

現在の健康保険の自己負担割合は現役世代は3割、70~74歳は2割、75歳以上の後期高齢者は1割が原則です。1人あたり医療費が高い世代ほど自己負担割合が小さくなる設計となっています。私たちとしては非常に助かる仕組みですが、国としてはこの負担は今後重すぎると考えているようです。

そこで出てきている対策の一つが、75歳以上の後期高齢者の方の自己負担割合を現在の1割から2割に引き上げることです。自己負担割合が上がることで、軽い症状で病院へ行くことが減ることも期待されています。

後期高齢者の中でも現役並みの所得を得ている人は、現役世代と同じく3割負担となっています。負担能力の高い人は負担してくださいという仕組みですが、この現役並み所得者の基準を変える動きも出ています。この基準が下がることで2割どころか3割負担する人の割合が増えることになります。


定額負担制度の導入の動きも

新しい仕組み導入の動きもあります。現在の制度では、たとえば2万円の外来医療費がかかった場合、3割負担であれば2万円×3割=6,000円の自己負担となります。

このように、現在は定率負担ですので2,000円の医療費なら3割で600円の自己負担というように、医療費が少額なら自己負担も少額で済みます。そのため、ちょっとした体調の崩れでも気軽に病院に通うことができました。

こうした動きを抑制しようと導入が検討されているのが「定額負担制度」です。たとえば外来医療を受けるたびに1,000円の自己負担がかかる、といった制度です。この場合、先ほどの2万円の医療費の場合は1,000円+6,000円=7,000円の自己負担。2千円の医療費がかかった場合も考えると、1,000円+600円=1,600円の自己負担がかかることに。かなり負担感が高くなることが分かります。

また、現在は薬剤費も医療費と同様の自己負担割合で済みます。ですから、街の薬局で薬を買うよりも医師に診てもらって薬を出してもらった方が得、と医師を利用している方も多いはず。こうした動きを抑制する仕組みとして導入が検討されているのが、一定額までの薬剤は全額自己負担という制度です。

薬局で医薬品を買うと1,000円以上かかることが多いものです。たとえば医師に処方箋を出してもらっても1,000円までは全額自己負担ということになれば、気軽に医師に診てもらうわけにはいかなくなりますね。

<図表>受診時定額負担のイメージ

受診時定額負担のイメージ

財務省資料より


金融資産の保有額で給付が決まる仕組み

今回の建議の中で一番注目すべき対策が金融資産の保有額で給付を決める仕組みの導入の検討です。

これまで社会保険は所得の多寡で給付や負担が決められてきました。負担能力の高い人は負担が重く給付は少なく、また負担能力の低い人は負担が軽く給付は多く、という応能負担の原則が貫かれてきました。ところが、この負担能力をみるのに収入だけでなく金融資産の保有額も考慮することが検討されています。

特に高齢者世帯は年金生活になれば収入が少なくなるので負担能力が低いとみなされます。ところが、検討されている制度では、収入は少なくても、金融資産を多く持っているのであれば負担能力は高いとみなすということです。

収入は確定申告や会社の年末調整によって国も把握できるので使われてきました。現在進んでいるマイナンバーの利用が金融機関の口座にも拡大されることで、金融資産の保有額を把握できるようになれば、こうした制度が成立するようになります。私たちとしては非常に複雑な思いのする制度ですが、マイナンバー導入決定時から噂されていた制度がいよいよ議論され始めました。


医療保険や貯蓄の重要性が増していく

このように健康保険制度は私たちの自己負担が増え、病院で気軽に診てもらうことができなくなっていく方向で検討されています。私たちは医療費の自己負担に問題が発生しないように、貯蓄をしたり医療保険に加入して備えます。

健康保険の給付が縮小していくということは医療保険や貯蓄の重要性が増していくということ。特にこれまでは高齢期になれば負担が軽くなるという前提で設計されてきましたが、高齢期も負担は軽くならない時代が来そうです。こうなると現役世代だけでなく、高齢期もしっかりとカバーできる終身医療保険に注目がさらに集まりそうです。医療保険と貯蓄を上手に組み合わせてこの社会変化に対応していきましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


保険商品のご紹介

Yahoo!保険では、Yahoo! JAPANグループの保険代理店ワイズ・インシュアランスが厳選した保険をお届けしています。

バックナンバー





プライバシー - 利用規約 - ヘルプ・お問い合わせ
Copyright (C) 2018 Y's Insurance Inc. All Rights Reserved.
Copyright (C) 2018 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.