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働けなくなった時のための保険

2018年02月26日
働けなくなった時のための保険

もはや成熟した感があり革新が生まれにくいと思われがちな生命保険の分野で近年成長が著しい分野があります。働けなくなった時のための保険です。死亡時の保険や病気・ケガの時の保険は、これまで何度も取り上げてきました。働けなくなった時のための保険は、生きているのだけれども経済的に稼ぐことができない「経済的死亡」と呼ばれる分野の保険です。いまや数多くの生命保険会社から発売され、十分に比較検討できるほどになっています。どんな保険なのでしょうか。


働けなくなるリスク

私たちが病気になったり、ケガをすれば、治療のために医療費がかかります。すぐに完治すれば、医療費だけの負担で済むでしょう。でも、状態が重くなったり、治療に期間がかかってしまうと、治療費が多くかかるだけではなく、収入が減少することも。もっと悪くなると、仕事を失うこともあるかもしれません。
たとえば、あなたが住宅ローンを借りていたらどうでしょう。もしも、あなたが死んでしまえば住宅ローンはなくなります。住宅ローンを借りる際に団体信用生命保険に加入するのが一般的だからです。団体信用生命保険から保険金が出て、住宅ローンの残債がなくなるのです。

逆に死ぬことはなくても、働けなくなったという場合は経済的に深刻です。一般的な団体信用生命保険では保障がないからです。最近はがん、心筋梗塞、脳卒中といった3大疾病や、その他の重大疾病に対する保障のついた団体信用生命保険も多くの銀行で選べるようになっています。こうした保障のついた団体信用生命保険に加入すれば(多くの場合で上乗せ金利や追加の保険料が必要)、保険金支払い条件に該当した際には住宅ローンがなくなります。 もちろん、住宅ローンを借りていなくても、働けなくなり収入がなくなれば生活自体が困ります。子供の教育費の支払いも困るかもしれません。だからこそ、この働けなくなるリスクが注目されているのです。


働けなくなるリスクをカバーする公的保障

病気やケガで働けなくなったときのための保険は、もともとは損害保険会社から「所得補償保険」という名称で販売されてきました。現在の新商品のほとんどは、この分野に生命保険会社が進出して発売した商品です。
ただ、会社に勤めている人は、会社を通して健康保険に加入しています。これらの健康保険には傷病手当金という仕組みが用意されています。この保障は「公的な所得補償保険」と言える保障です。
傷病手当金は次の3つの条件を満たしたら支給されます。
(1)病気やケガの療養中であり、労務不能(自宅療養含む)
(2)連続した3日間の休業をし、通算4日以上休んだ
(3)給料の支払いがなくなるか、減額された

傷病手当金は1日当たり報酬日額の3分の2相当額が最長1年6か月のわたり支払われます。この間も引き続き社会保険料を支払う必要はありますが、税金はかかりませんので手取りでみるとかなり助かる保障です。
一方で、自営業の人や専業主婦などでは傷病手当金は出ません。特に自営業者の人は働けなくなる=収入がなくなる、ので心配は大きいでしょう。


現役世代が働けなくなる原因は精神疾患が多い

では、私たちはどんな理由で働けなくなるのでしょうか。健康保険の傷病手当金を受給した人の統計があるので確認してみましょう。
がんや心疾患、脳血管疾患といった3大疾病をイメージすると大間違い。現役世代の一番多い理由は「精神および行動の障害」です。特に20代、30代は4割を超えています。年齢を重ねるごとに、3大疾病のがん(新生物)や心筋梗塞や脳血管疾患などの循環器の疾患が増えていることが分かります。

<図表>年齢階級別にみた傷病手当金の傷病別件数割合((平成25年)全国健康保険協会他資料)

<図表>年齢階級別にみた傷病手当金の傷病別件数割合((平成25年)全国健康保険協会他資料)


民間保障のほとんどは精神疾患がカバーされていない

では、最近多くなってきた生命保険会社の働けなくなった時のための保険はこうした事態に対応できるのでしょうか。どんなときに給付金が支払われるのか、3社の商品を例に支払事由を見てみましょう。
まず、一般的な支払理由としては、入院、自宅療養かは問わず、病気やケガの治療のために働けない状態が続いていること。治療のために入院していれば、客観的に証明ができますが、自宅療養のときに「働けない」ことをどのように判断するのでしょうか。
自宅療養の場合は、軽い家事しかできず、通院以外の外出が困難な状態となっているのが一般的です。いずれにしてもあいまいな基準になりやすく、もめごとになる可能性が否定できません。そのため、最近は公的制度と連動する商品も出てきました。国民年金法に基づき、障害1級、2級に該当すれば支払うというB社のような商品も出てきています。

注意したいのは、働けなくなった保険の多くは「精神疾患」は支払対象となっていないこと。前述したように20代、30代が働けなくなる理由の4割超が精神疾患でした。それだけに保険会社としてはリスクを取りたくないのかもしれません。そんな中、C社はうつ病や統合失調症などを含むストレス性疾患を支払対象としています。また、がん、心筋梗塞などの5疾患による就業不能状態も対象としています。一方で、ケガなどが対象ではありませんが、割合的にはかなり小さい部分になるので合理的と言えるでしょう。
それぞれの保険料は保険金の支払われ方がそれぞれ異なるため、比較が難しくなっています。A社とB社は支払対象となる状態が継続する限り、最長で保険期間が終わるまで契約金額が年金形式で支払われます。C社は支払対象となる状態になれば、その後回復しても約束した年数分の年金が確定年金として支払われます。当然ながら年金額を大きくするほど、保険期間を長くするほど保険料は高くなります。

<図表>働けなくなったときのための保険の比較

  A社 B社 C社
支払対象外期間 当初60日間もしくは180日間 当初60日間 当初60日間
支払対象となる状態 ●病気やケガの治療を目的として入院している状態
●入院やケガにより医師の指示を受けて自宅等で在宅療養をしている(軽い家事や最小限の外出を除き治療に専念している)状態。
●医師の治療が継続しており入院して医師の管理下にあること
●医師の治療が継続しており自宅にて医師の医学管理下において計画的な治療に専念し、外出も困難な状態
●うつ病、統合失調症などの精神疾患を含む10のストレス性疾患による入院が60日を超えて続いた
●がん、急性心筋梗塞、脳卒中など5つの疾患により所定の就業不能状態となり、その状態が60日を超えて継続した
公的制度との連動 なし 国民年金法に基づき障害1級もしくは2級に該当する状態 なし
精神疾患 ×支払対象外 ×支払対象外 ○指定された疾患は対象


会社員よりも自営業者のための保険

そもそも会社員の場合は健康保険から傷病手当金が最長1年半支払われます。ほとんどの場合で、この期間中に復帰できるでしょう。それであれば働けなくなった時のための保険に加入する必要性は低いでしょう。もちろん、この期間を超えて働けない状態が続く可能性もあります。心配であれば、民間の保険にも加入しておくことは安心につながります。
ただ、本当にこうした保険への加入を検討したいのは自営業の人です。傷病手当金が支払われないどころか、有給休暇などの制度もありません。仕事を休む=収入が減ってしまいます。公的保障がないなら、民間の保障でカバーしたり、貯蓄をしっかりとしておく必要があります。
ただ、自営業の方が民間の保障に加入したとしても、保険金を受け取るには多くの保険で60日を超えて働けない状態が続くことが求められます。この間も収入がなくなるので、最低でも60日間は働けなくても食べて行けるような貯蓄が必要であることも覚えておきましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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