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認知症の人が起こした事故!責任はどうなる?

2016年07月25日
認知症の人が起こした事故!責任はどうなる?

今年3月、認知症の男性(当時91歳)が徘徊中に発生した鉄道事故に対する判決が最高裁から出ました。最高裁は「家族は賠償責任を負わない」という判断を下しました。

この事故は2007年に発生。認知症患者の男性が線路に立ち入ったことで、列車にはねられました。本人に責任は問えないため、鉄道会社側が妻や長男に対し振替輸送費などの損害賠償を請求する訴訟を起こした裁判でした。


認知症患者の監督義務者かどうかが判断の分かれ目

一審の地裁では男性側の妻と長男に対し請求額約720万円の支払いを命じる判決が出ました。二審の高裁では長男に対する請求は退け、男性の妻にのみ請求の半額の360万円を支払うことを命じました。そして、最終的に出された最高裁の判決は、長男も妻も賠償責任を負わないというものでした。

ここでの争点は、妻や長男に認知症患者の男性に対する監督義務者としての義務があるかどうか。この点に対する判断が、地裁、高裁、最高裁と揺れ動いたことになります。
最高裁の判断は、長男は男性と同居しておらず接触回数も少ないことから監督義務者とは言えない。そして、妻においても85歳と高齢で要介護1の認定も受けており、長男の補助を受けつつ介護していたことから現実的には監督義務者ではないとされました。


非常に現実的だが注意を要する判断

今回の判決の認知症患者の家族が賠償責任を負わないという点は、感覚的に非常に現実的なものと言えるでしょう。ただし、今回の最高裁の判断をよく検討してみると、重要なポイントに気が付きます。それは、もしも「監督義務者」とされたらどうなったのか、ということです。

たとえば、認知症患者を同居している若い家族が面倒を見ていたらどうでしょう。今回の判断を参考にすれば「監督義務者」とされ賠償責任を負うとされる可能性は十分あるということです。もしも、こうした事態が発生した場合、私たちはどうしたらいいのでしょうか。


個人賠償責任保険はどこまでカバーしてくれるのか

近年、子どもが起こした自転車事故や飼い犬が通行人を噛んだときなどに心強い保険として注目が高まっているのが個人賠償責任保険です。本人が起こした事故による賠償責任だけでなく、家族が起こした事故も補償されるのが特徴の保険です。一般的には個人賠償責任保険はこうした認知症の家族が起こした事故まで補償してくれます。

ところが、中には補償してくれない保険もあるので要注意です。ぜひ保険契約の約束ごとが書いてある約款を読んでみましょう。約款の中には「保険金をお支払いしない主な場合」という項目があります。その中に「被保険者の心神喪失に起因する損害賠償責任」と書かれていれば、認知症患者は心神喪失状態とみなされますので補償されません。また、個人賠償責任保険は同居の親族が全員被保険者になるのが一般的ですが、そもそも責任無能力者は被保険者になれないとなっている保険であれば被保険者になることができないので補償されません。

損害保険はこのように約款まで読まないと補償されるかどうかわからないので、細かい内容なのですが注意して読むようにしましょう。


対象を拡大した保険が発売された

個人賠償責任保険は、原則として同居・同一生計の親族が被保険者となります。逆に言うと、それ以外の親族は対象にはならないことになります。
例えば、2世帯住宅でも、玄関が別など区分居住している場合は対象になりません。同居していても別生計の場合も対象外です。当然ながら親と別居している場合は対象ではありません。

こうしたケースでも補償される新しい保険が2015年10月に三井住友海上保険とあいおいニッセイ同和損害保険から登場しています。この保険では被保険者の範囲が広げられ、「同居・別生計の親族」、「区分居住の親族」、「監督義務者である別居親族」、「後見人」まで被保険者とする保険です。


自動車を勝手に運転して事故をした場合はどうか

それでは、認知症の人が勝手に自動車を運転し事故を起こしてしまった場合はどうでしょうか。この場合、原則として自賠責保険や任意に加入している自動車保険の対人賠償責任保険や対物賠償責任保険から補償されます。
これらの保険は被害者の救済を目的としているため保険金が支払われますが、その他の人身傷害保険や車両保険については支払われないのが一般的です。


これからますます認知症患者は増えていく

厚生労働省の研究班によると、我が国には2012年時点で約462万人の認知症患者がいるとされています。そしてこれからも認知症患者は増え続け、2025年には700万人を超えると予測しています。たった10年あまりで1.5倍にまで増える見込みです。

つまり、認知症患者が引き起こす事故はこれからも増えていくはずです。そのたびに、家族に対する賠償責任が話題になるでしょう。家族がそのリスクを考えると、自宅で面倒を見ることができないという時代が来るかもしれません。それなのに、認知症患者を受け入れてくれる介護施設も絶対的に足りていません。認知症患者が引き起こす事故による賠償問題は、誰にとっても他人事ではないのです。高齢の家族がいる方は特に、こうした視点からご加入の保険内容を確認してみましょう。

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藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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