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マイナス金利が続いて保険会社は大丈夫なの?

2016年06月24日
マイナス金利が続いて保険会社は大丈夫なの?

ついに日本にもマイナス金利時代が到来しました。わが国で史上初の出来事です。この異例の事態は、生命保険会社の経営も苦しめることになりそうです。生命保険会社は私たちが万一の時に保険金を支払ってくれますが、そのときに備えてお金を積み立て運用しているからです。マイナス金利によって生命保険会社の運用環境が悪化しており、これが長期化すれば各生命保険会社の経営が危うくなる可能性も頭に入れておかなければなりません。


私たちは生命保険会社と利率の約束をしている

私たちが生命保険会社に保険料を支払うと、生命保険会社は保険料の一部を将来の保険金支払いに備えて積み立てをします。私たちが保険契約を解約する際に戻ってくる解約返戻金はこうした積立金が原資となっています。

つまり私たちは保険契約を通して保険会社にお金を預けていることになります。生命保険会社としてはこの預かったお金を「何%で運用します」と契約時に約束しています。この運用率のことを予定利率と言います。この予定利率は一般的な保険契約では、終身保険のような保険期間が長い契約でも保険期間が終わるまで契約時と変わらない利率が維持されます。

この予定利率の推移を見てみると1993年以降は下落トレンドであることが分かります(現在は金融庁が標準利率を決め、それを参考に保険会社各社が予定利率を決定して商品設計をしています)。かつては予定利率が5.5%なんて時代もありましたが、現在の標準利率は1.0%まで下がっています。マイナス金利環境になったことで、これが長期化すればさらに下がることも予想されます。

<生命保険会社の予定利率(標準利率)の推移>

契約日 予定利率
(1996年以降は標準利率)
1985年4月2日~1993年4月1日 5.5%
1993年4月2日~1994年4月1日 4.75%
1994年4月2日~1996年4月1日 3.75%
1996年4月2日~1999年4月1日 2.75%
1999年4月2日~2001年4月1日 2.0%
2001年4月2日~2013年4月1日 1.5%
2013年4月2日~ 1.0%

※それぞれ保険期間が20年超の契約


「逆ザヤ」の悪夢が再び!?

問題はマイナスとなった現在の金利水準に比べると予定利率がとても高いこと。つまり「逆ザヤ」状態になりやすくなったのです。

<順ザヤ>約束した利率実際に運用できる利率

<逆ザヤ>約束した利率実際に運用できる利率

「逆ザヤ」とは保険会社が契約者と約束している利率よりも、実際に市場で運用できる利率が低い状態をいいます。保険会社は運用がうまくできなくても契約者との約束を守るために、資産を切り崩して積立をしなくてはなりません。

もちろん生命保険会社はこうした事態に陥らないように、株式や不動産などでも運用して運用率を上げる努力をします。ただ、こうした運用は相場次第という面もありますし、保険会社によって巧拙の差がでるのは事実です。

結果として「逆ザヤ」の幅が大きくなり、さらに長期化してしまえば切り崩す資産もなくなり経営が不安定となり、最後は破綻ということもあり得ます。実際に1997年の日産生命の破たん以降、8社の生命保険会社が破綻しましたがその多くが逆ザヤの重みに耐えきれなかったことが原因の一つとなりました。

<生命保険会社の破たん>

破たん時期 破たんした生命保険会社
1997年4月25日 日産生命
1999年6月4日 東邦生命
2000年5月31日 第百生命
2000年8月28日 大正生命
2000年10月8日 千代田生命
2000年10月20日 協栄生命
2001年3月23日 東京生命
2008年10月10日 大和生命


保険会社の体力は格付けを参考にしよう

現状で生命保険会社がバタバタ破綻するということは考えにくいですが、生命保険は一般的に長期の契約です。生命保険会社の経営体力には関心を持ちたいところです。
とはいえ、保険会社の経営体力はどのように調べたらいいのでしょうか。保険会社の経営体力を見る指標はさまざまあります。その中でも直感的にわかりやすいのが「格付け」という指標です。民間の格付け会社が、保険会社の将来の保険金支払い能力を査定し、その能力の高さを記号であらわしたものです。

多くの保険会社が米系のStandard & Poor’s(S&P)やMoody’s、国内系の格付投資情報センター(R&I)などから格付けを取得し公表しています。格付け会社は民間企業ですから、それぞれが独自の基準を持って格付けしています。一般的には米系の2社の格付けは厳しめと言われています。

格付けの見方としては、AAA(Moody’sはAaa)が最上位の格付けでもっとも保険金を支払う能力が高いことを示します。そして、AA、Aと格付けは下がっていきBBBまでが支払い能力が良好とされます。BB以下になると強みよりも弱みの方が強いとされ、支払い能力が不安定とされます。ですから、まずは契約している、もしくは契約する保険会社の格付けを調べBBB以上を取得できているかどうか確認するといいでしょう。もっと言うと格付けは変化していきますのでA以上を取得できていた方がより安心できます。

S&P Moody’s R&I 保険金を支払う能力
AAA Aaa AAA 高い

AA Aa AA
A A A
BBB Baa BBB
BB Ba BB

低い
B B B
CCC Caa CCC
CC Ca CC


格付けはHPで確認

では、この格付けを私たちはどのように確認したらいいのでしょうか。まずは各格付け会社のHPで格付けを確認するのが一つの手です。ただし、ユーザー登録が必要な格付け会社もあり抵抗がある人もいるかもしれません。

Standard & Poor's(S&P) http://www.standardandpoors.com/ja_JP/web/guest/home
Moody’s https://www.moodys.com/pages/default_ja.aspx
格付投資情報センター(R&I) https://www.r-i.co.jp/jpn/index.html

もしも、契約している保険会社や、気になる保険会社があるなら、その保険会社のHPで確認するのが早道です。トップページに格付けを表示していればわかりやすいですが、そうでなくても会社情報ページを見れば決算情報や健全性を示す指標が確認できるはずです。 中には格付けを取得していない保険会社もあります。格付けがないから経営状態が悪いということではありませんので注意しましょう。

しばらくこうした生命保険会社の健全性について話題に上ることはありませんでしたが、マイナス金利環境となり再び注目を集めることもありそうです。生命保険のような長期契約では、会社の健全性も重要な商品性の一つです。保障内容や保険料の比較だけでなく、これからは保険会社の健全性も比較検討しましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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