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マイナス金利で生命保険はどうなる?

2016年03月25日
マイナス金利で生命保険はどうなる?
ついに我が国にも導入されたマイナス金利政策。日本の中央銀行である日本銀行は2016年1月の金融政策決定会合でマイナス金利を導入することを決定しました。マイナス金利ということは「お金を預けているのに利息を取られる」ことを意味します。感覚的には理解しにくいこの政策は、どんな背景で導入することになったのでしょうか。また、マイナス金利によって生命保険への影響はどんなことが考えられるのでしょうか。

上向かない日本経済がマイナス金利導入を決意させた

2012年11月の衆議院議員選挙で自民党が大勝したことで発足した第2次安倍政権。安倍政権の経済政策の目玉が「アベノミクス」です。アベノミクスではわかりやすく「3本の矢」と呼ばれる政策の柱が決められています。現在では「新3本の矢」が発表されていますので、発足当時の政策は「旧3本の矢」と呼ばれるようになっています。

この旧3本の矢を支えているのがこの日本銀行の大胆な金融政策です。日本銀行総裁の名字を使って「黒田バズーカ」と呼ばれるほどインパクトのある政策を次々に繰り出してきました。これまでのバズーカの正体はお金を大量に世の中に供給すること。現在は年間80兆円という我が国の税収を上回る巨額なお金が供給されています。

ところが、このお金が思惑通り世の中に流れないのが悩みの種。日本銀行としては供給したお金が金融機関を通して世の中に流れることで景気がよくなることを狙っていたはず。ところが、そのお金を受け取った金融機関はそのほとんどのお金を日本銀行に置いたままにしていたのです。それもそのはず、その日本銀行に置いておくだけのお金に、これまでは特例で0.1%の金利がついていたのです。銀行としてはなかなか貸出先や投資先もないし、リスクなしで金利がつくなら悪い話ではなかったのです。一向に政策が意図しているように日本経済が上向かない原因の一つがここにあったと考えられているのです。そこで、登場してきたのがこのマイナス金利というわけです。

日本銀行は今後供給されるお金を日本銀行に置いたままにするなら、そのお金からは利息をもらうよ、としたわけです。つまり、積極的にお金を世の中に流通させてよ、ということ。利息を取られるくらいなら、貸出なり投資なりで使おうと考えるように促したのです。


生命保険に予想される変化

生命保険会社は契約者との間で長期の保険契約を結ぶとともに、大量の国債を保有し運用しています。この異常な政策が短期間で終われば影響は小さくて済みますが、長期間にわたり実施され、そのマイナス幅も大きくなれば、その影響は多大なものになるかもしれません。考えられる主な影響を以下に挙げてみました。

(1) 逆ザヤの悪夢が再び!?

長期的にマイナス金利が続けば、保険会社は運用難に陥ることが考えられます。なぜなら、保険会社の販売する一般的な商品は、契約者の保険料の一部を積み立てて運用しています。その運用時の利率をあらかじめ契約者に約束していますが、この運用率のことを予定利率といいます。

契約時に決められた予定利率は保険期間中変わらない商品がほとんど。変わる商品でも、最低保証利率が定められるなど、一定以上の運用をすることが求められます。

ところが、このマイナス金利の導入によって、この約束した利率以上で運用することが困難になる会社が増えると予想されます。このように約束した利率以上の運用ができない状況を「逆ザヤ」状態といいます。

かつては5.5%と予定利率がとても高い時期もありました。保険期間が続くかぎり、こんな高い利率が現在も維持されています。その後の低金利環境下、予定利率(現在は標準利率)は下がり続け現在1%まで下がっています。昔と比べると随分と低くなった印象ですが、マイナス金利となった現在ではこれでも高く見えます。また、1%でも逆ザヤ状態になる可能性が高いでしょう。

マイナス金利になったことで、日本銀行が意図したとおりに積極的にリスクを取って運用に乗り出す保険会社も出てくるはず。ただ、すべての保険会社がそのような行動をとるとも限りませんし、運用に乗り出しても成功するとも限りません。

保険会社としてこれ以上の逆ザヤの拡大を止めるために手っ取り早いのが、貯蓄性の高い保険商品の販売を縮小することです。ただ、逆にこういう時期だからこそ、他社よりもいい運用成果をアピールして貯蓄性の高い商品を販売し、高い運用力をアピールするような気概のある会社が出てきて欲しいものです。

(2) 運用商品の性格の強い貯蓄性保険の売り止め・条件悪化

すでに出ている動きとしては、一時払い終身保険などの貯蓄性の高い保険商品の売り止めや条件の改悪です。販売を続ける会社も2016年4月2日以降の予定利率を0.75%程度にまで引き下げるようです。その結果、保険料が上がる見込みです。

低金利環境が続く中、生命保険の世界では保障と貯蓄は別々に確保する、という流れが強くなっています。貯蓄性の高い商品については商品そのものが少なくなっていくことが予想され、なお一層保障性重視の流れが強まるものと思われます。

今後、標準利率を1%からさらに引き下げる可能性が高まりました。現状でもこれだけの動きがあるのですから、もしも引き下げが決定すれば貯蓄性保険のほとんどは保険料が上がることになるでしょう。

(3) 外貨建て商品を提案するケースが増加

我が国はマイナス金利に突入しましたが、米国のように逆に利上げを行った国もあります。終身保険などの貯蓄性の高い商品は円建ての商品が少なくなる一方で、外貨建ての商品が増える可能性もあります。金利が比較的高い通貨を使った保険商品を作ることで、見た目の保険料水準を安く抑えることが可能になるからです。こうした背景から、外貨建て保険の販売が増えるものと思われます。

ただし、外貨建て保険は為替リスクを伴うことがデメリット。必要保障額は通常は円建てで計算します。1000万円必要だったのに、死亡時には円高になっていたから800万円しか保険金が出なかった…、ということにならないようにしなくてはなりません。必要な保障額が決まっているならば、ある程度余裕をもった保障設計をするように心がけたいところです。

マイナス金利という私たちが経験したことがない状況は、生命保険にも大きな影響がありそうです。私たちの生活は、保険だけでなく預金、住宅ローン、証券商品など、さまざまな金融商品に囲まれています。こうした金融商品がそれぞれこのマイナス金利の影響を受けるわけです。マイナス金利環境が長期化すると、金融機関の体力にも問題が出てくる可能性があります。私たちはこうした変化に適応していくことが求められています。今後の動きに注目し対策を立てて行きましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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