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同性カップルでも死亡保険金受取人に指定できる時代に

2016年01月25日
同性カップルでも死亡保険金受取人に指定できる時代に

2015年4月、東京の渋谷区で日本初の同性間のパートナーシップを認める条例が施行され全国から注目が集まりました。その後も世田谷区が同様の同性婚証明書の発行する方針を発表。10月から渋谷区、11月から世田谷区で、同性カップルへパートナーシップ証明書や宣誓書の発行が始まり、いわゆる同性婚を自治体が公的に支援する施策が始まりました。

このニュースは生命保険の分野にも無関係ではありません。同性カップルも公的な書類が発行される関係となり、これまで難しかった死亡保険金受取人になれる道が開けたのです。


同性カップルにはさまざまな社会的不都合が

近年LGBT(レズビアン:女性同性愛者、ゲイ:男性同性愛者、バイセクシャル:両性愛者、トランスジェンダー:性別越境者)をはじめとした性的少数者に関心が集まっています。そのことによって、社会でも性の多様性が認められるようになってきました。

ただ、人々が性の多様性を受け入れるようになったとしても、LGBTの方々が暮らしやすくなるわけではありません。なぜなら、社会の中で普通と考えられているようなことができないからです。

同性カップルが結婚をしたいと思っても結婚はできません。我が国の民法においては明確に同性婚を禁止しているわけではありませんが、日本国憲法第24条1項において「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と書かれています。この憲法の条文もそのまま同性婚を否定しているわけではありませんが、我が国では男女間の婚姻を前提としていると解釈されてきました。これによって、さまざまな社会システムが男女間の婚姻を前提として作られてきました。

入院中の面会や手術の際には親族でないと通常は同意できません。さらに同性カップルがパートナーのために生命保険に加入したとしても、通常は死亡保険金受取人にパートナーを指定することができません。今後こうした社会的な不都合をこのパートナーシップ証明書が解消することになるかもしれません。

病院や保険会社の対応はまちまちですが、このパートナーシップ証明書を提示することで手続きを受け入れる動きが出てきました。生命保険会社の中ではライフネット生命がいちはやく死亡保険金受取人の指定範囲を拡大し、同性パートナーが死亡保険金受取人になることができるようになりました。ライフネット生命の場合は、パートナーシップ証明書がなくても同居を証明する住民票や直筆の「パートナー関係に関する確認書」を提出するなどすることで同性パートナーを指定できます。その後も、日本生命、第一生命などでも渋谷区のパートナーシップ証明書を提出することで指定できるようになりました。


死亡保険金を受け取れても相続には不都合が

このように渋谷区のパートナーシップ証明書によって、同性パートナーが死亡した際に死亡保険金受取人になる道が開けました。ただし、渋谷区は二人とも同区内に在住であることを発行の条件としているので、他の地域に住んでいる方は渋谷区のパートナーシップ証明書を必要としない生命保険会社以外は従来通り死亡保険金受取人になることはできません。

ただ、死亡保険金受取人になることができたとしても、保険金以外の財産の相続には今のところこれまでとの変化はありません。同性パートナーは法定相続人ではありません。何もしなければ法律上は赤の他人です。もしも相続財産を同性パートナーに残したいのであれば遺言を書くことをお勧めします。

同性パートナーには、配偶者が財産を相続をした際に認められる1億6千万円を限度とした控除は認められません。死亡保険金に対する500万円の非課税枠も使うことができません。また遺族とは認められないので遺族年金も受け取ることはできません。

たとえ遺言書によって財産を相続ができたとしても、法律上は「遺贈」という扱いになります。そのため、相続税額に2割に相当する額が加算されてしまいます。


パートナーシップ証明書の申請は公正証書による確認が必要

渋谷区のパートナーシップ証明書を申請するには、2人とも20歳以上で渋谷区に居住し住民登録があることが必要です。法律上の配偶者や相手方以外のパートナーがいない性別が同じカップルが条件です。また、もともと結婚ができない近親者同志のカップルは申請できません。

申請の受け付けは渋谷区役所住民戸籍課窓口に申請当事者2人が出向いて行う必要があります。郵送や代理人による申請は受け付けていません。申請には2人の戸籍謄本や公正証書、本人確認書類などが必要です。公正証書は「任意後見契約公正証書」、および愛情に基づいた関係や共同生活における責任についての「合意契約公正証書」が必要とされています。


事実婚の場合は手続きが面倒だが可能

同性婚とは異なりますが、同じように死亡保険金受取人になりにくい方々がいます。昨年12月、最高裁判所で「夫婦同姓は合憲」という判決が出ましたが、夫婦別姓を希望し結婚せず事実婚状態を続けている方々です。

死亡保険金受取人は原則「戸籍上の配偶者または2親等内の血族」とされているので、こうした事実婚カップルも原則としては死亡保険金受取人になることはできません。ところが、事実婚カップルは条件次第では多くの保険会社で死亡保険金受取人になることが可能です。

まず、事実婚パートナー以外に戸籍上の配偶者がいないこと、同居期間など事実婚の状況も確認します。また、訪問・面談によって内容を確認することもあります。手続きが面倒ですが、保険会社が事実婚の意思や状況を確認した上で、受取人に指定することを受けてくれることがあります。

時代が変われば価値観や法律、社会の仕組みも変わっていきます。その変化に保険会社も対応していきます。ここではいまの状況をお伝えしましたが、来年には渋谷区や世田谷区だけでなく全国各地へ、また死亡保険金受取人の指定だけでなく他の仕組みにも広がっているかもしれませんね。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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