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2重課税で違法ってどういうことなの?

2010年08月23日
2重課税で違法ってどういうことなの?

7月6日、最高裁判所である判決が出ました。ある生命保険会社の年金払いタイプの死亡保険で年金を受け取った遺族が、国を相手に提訴した裁判です。税金の取り扱いについて争われたこの裁判、これまでの取り扱いがひっくり返るような判決が確定しました。いったいどんな裁判だったのでしょうか。


一時金支払いタイプの死亡保険は相続税扱い

死亡保険は通常であれば一時金で保険金が遺族に支払われます。その場合の税金は、相続税扱いとなります。具体的には、受け取った保険金から非課税枠を控除した後に相続財産に組み入れられ相続税の計算の対象となります。


年金払いタイプの死亡保険の場合は2段階の課税

今回の裁判では、死亡保険の中でも年金払いの死亡保険が対象となりました。多くの会社で、収入保障保険、年金払定期保険、遺族保障保険、生活保障保険といった名称で販売されている保険です。
年金払いタイプの死亡保険の場合、2段階で税金の対象となります。

(A)年金受給権への課税
まず、被保険者が死亡した時に、遺族に年金を受け取る権利(年金受給権)が発生します。この年金受給権は、一時金で保険金が支払われる死亡保険と同様に相続税扱いとなります。

(B)年金への課税
受け取った年金から経費などを差し引いて残った金額が雑所得となります。この経費を多く引ければ、税金もあまりかかりません。ところが、主に過去に支払った保険料しか経費にならないので、受け取る年金額との比較で言うとほとんど差し引くことができず、税金をかなりの割合とられてしまいます。

年金払いタイプの死亡保険の場合は2段階の課税

判決は?

この2段階の課税は『「2重課税」であり違法』という判決が確定したのです。そのため「年金には税金がかからない」という誤った情報も流れ始めました。注意が必要です。
正確にはまだ具体的な税金の取り扱いについてはわかっていません。ただ、判決の中でいくつかのポイントを見つけることができます。

(1)毎年の年金のうち相続税の課税の対象となった部分については所得税の課税対象とならない。
相続税の課税対象となるのは、年金受給権でした。ですから、年金受給権に相当する分は課税されず、それを上回る分(運用益に相当する部分)については課税されると読むことも可能です。

(2)判決の中で課税が取り消されたのは、初回の年金のみ
少なくとも初回の年金については税金がかからないという解釈で大丈夫でしょう。ただし、2回目以降の年金については言及されていません。2回目以降の年金の税務上の取り扱いが今後の注目ポイントになります。

(3)影響を受ける商品は
現状でははっきりしていませんが、今回の判決は生活保障特約という商品についてでたものです。同種の保険と言ってもいい収入保障保険は同じ取り扱いになるでしょう。それ以外にも年金払いの死亡保険には、学資保険の育英年金があります。また団体保険にも年金払いタイプの死亡保険があります。これらも同様の取り扱いになるものと予想されます。


年金受取のデメリットがなくなるかも

年金払いタイプの死亡保険は、文字通り年金払いで保険金を受け取ることができますが、一時金での保険金受け取りを選択することもできます。一時金で受け取るよりも年金払いを選択した方が生活のプランニングはしやすいのですが、これまではこの2重課税の問題があったので、年金払いタイプの死亡保険であっても一時金で受け取ることをお勧めしてきました。一時金で受け取った方が結果的に手取りが多くなると予想されたからです。
でも、今回の判決で年金払いを選択してもデメリットが小さくなることも予想されます。年金払いタイプの死亡保険は人気商品でもあり、保険金の受け取り方の常識が変わるかもしれません。今回の判決の結果、具体的にどのような税金の取り扱いに落ち着くのか注目です。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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