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差額ベッド代って払わなきゃいけないの?

2009年08月17日
差額ベッド代って払わなきゃいけないの?
「いま大部屋空いてないので、個室に入ってもらってもいい?」「じゃあ、仕方ないですね」Aさんが入院するときに、こんなやりとりがあったそうです。さらに差額ベッド代が日額2万円と説明されビックリ。でも、空いていないのでは仕方がないとそのまま個室に入院したそうです。結局20万円近い差額ベッド代がかかってしまい、Aさんは少し納得がいかないようです。実はAさんのように個室に入院しても、差額ベッド代を払わなくても良いケースもあります。これらは一体どういったルールで運用されているのでしょうか。

差額ベッド代がかかる「特別療養環境室」の定義

差額ベッド代がかかるような病室は専門用語で「特別療養環境室」といいます。差額ベッド代についてのルールは厚生労働省が定めていますが、そのルールには「特別療養環境室」は次のように定義されています。

【特別の療養環境とは】
  1. (1) 特別の療養環境にかかわる一の病室の病床数は4床以下であること。
  2. (2) 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること
  3. (3) 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること
  4. (4) 少なくとも下記の設備を有すること
    • ア 個人用の私物の収納設備
    • イ 個人用の照明
    • ウ 小机等および椅子

個室に入れば差額ベッド代がかかる、と思っている人も多いのですが、これを見ると4人部屋でも十分な広さがあり、キャビネットなどの設備を有していれば個室と同じように差額ベッド代がかかることがあることが分かります。


差額ベッド代がかかるのは患者側が同意した場合のみ

実際に私たちが特別療養環境室に入院したときに、差額ベッド代がかかるかどうか判断する基本は、その入院が患者の自由な選択と同意に基づいて行われたものであるかどうか。つまり、差額ベッド代を支払う必要があるのは、患者が「希望して」特別療養環境室に入院する場合に限られるということです。

さらに、医療機関側は見えやすい場所に特別療養環境室各々のベッド数、場所、料金を掲示し、入院を希望する患者に対し設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し同意を得ることが求められています。さらに患者側に同意をもらった場合、料金等が明示された同意書などの書面に患者側の署名を受けることが必要になっています。

Aさんのケースでは、Aさん側から個室に入ることを希望したわけではありません。ただ、「仕方がないですね」と同意をしていますし、入院前に料金などの説明を受け、同意書に署名をしたそうです。


差額ベッド代を支払わなくてもよいケース

Aさんのケースは非常に微妙ですが、払わなくてもよかった可能性もありました。実は厚生労働省の定めたルールには患者側に差額ベッド代を請求してはならないケースというのも具体的に書かれているのです。

【患者に特別の料金を求めてはならないケース】
(1) 同意書がない、もしくは不十分
同意書による同意の確認を行っていない場合
(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む)
(2) 治療の必要があって入院
患者本人の「治療の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(3) 病院側の都合で入院
病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合

まず、特別療養環境室に入院したとしても、(1)のように同意書を書かなかったか、署名していないというような場合には、差額ベッド代は支払う必要がありません。また、(2)のように「治療の必要がある」ケースの場合にも支払う必要がありません。具体的には、次のような例があります。


【「治療の必要がある」とされるケースの具体例】
  • 救急患者や術後患者等のうち、病状が重篤で安静を必要としたり、常時監視が必要で、適時適切な看護および介助を必要とする場合
  • 免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
  • 集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある患者
  • 後天性免疫不全症候群(いわゆるエイズ)の病原体に感染している患者(ただし、患者が特別療養環境室への入院を希望した場合を除く)

次に(3)のように「病院側の都合」で入院したケースも支払う必要がありません。具体例としては、MRSA等に感染してしまったとき、主治医などが院内感染を防止するために実質的に患者の選択によらず入院させた場合が書かれています。ところが、このケースに該当しても患者が同意すれば差額ベッド代を支払う必要があります。

この感染症のケースでは、免疫が低下しこれから感染症に罹患しそうな患者は治療の必要があるので払う必要がありません。ところが、すでに感染症にかかっている場合は、患者側が特別療養環境室への入院を同意すれば差額ベッド代を支払う必要があるということです。この違いは良く覚えておきたいですね。


差額ベッド代のルールを覚えましょう

Aさんは、大部屋が空いていなくて入院しましたが、これも病院側の都合で入院したケースに該当するでしょう。ただし、Aさんは同意したので、支払う必要があると考えた方がいいでしょう。

では、同意しなければよかったのか、というとそういう訳でもありません。物理的に大部屋が空いていないのですから、同意しなくても個室に入院させてもらえることもあります。でも、他の医療機関に紹介されることになるかもしれません。こうした判断はむずかしいところですが、差額ベッド代のルールを覚えて支払う必要のないお金まで払わなくてすむようにしましょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター)


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