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保険通信 - プロがお届け! お役立ちコラム

終身払いと短期払いの損益分岐点

2012年01月23日
終身払いと短期払いの損益分岐点
終身医療保険に加入しようと思ったら、保険料の払込方法が選べることに気がついたAさん。一生涯保険料を払い続ける終身払いと、60歳までで保険料を払込終える60歳払込満了のどちらにするか悩んでいます。いったいAさんはどちらを選ぶ方がいいのでしょうか。

月々の保険料が安い終身払い

生命保険会社S社の終身医療保険で調べてみると、30歳になったばかりの男性であるAさんが終身医療保険に加入すると保険料は終身払いで月4,130円、60歳払込満了では月5,660円です。終身払いの方が月1,530円も安くなります。終身払いが人気なのは、このように月々の負担が小さくなるからです。

ただ、月々の負担が小さくても終身払いは一生涯保険料を払い続ける必要があります、一方の60歳払込満了は保険料は高くても60歳までですべての保険料を払い終え、それ以降は保険料を払わなくても保障は続いていきます。


終身払いと60歳払込満了の支払保険料累計額の推移

終身払いと60歳払込満了の支払保険料累計額の推移

長生きするために加入する終身医療保険ですから、払込方法を選ぶポイントの一つが支払う保険料の総額での比較です。たとえば、60歳までに支払う保険料で比較すると終身払いで148万6,800円、60歳払込満了は203万7,600円と55万円も違います。これだけ違うならやっぱり終身払いの方がいい気はします。ところが、終身払いは60歳以降も保険料の支払いが続くので、グラフのようにどこかで保険料の総額が逆転するときが来るはずです。その逆転するときを「損益分岐点」として計算してみましょう。変な話ですが損益分岐点年齢より早く亡くなったなら終身払いの方がトクだった、長生きしたら60歳払込満了の方がトクだったという年齢を計算することになります。


71歳で保険料総額が逆転

AさんがS社の保険で損益分岐点を計算すると71歳2か月となりました。つまり、71歳2か月まで払うと終身払いの方が保険料総額が高くなるということです。この期間の金利などは一切考えていませんが、金利が高くなれば損益分岐点は年齢が高い方へずれていきます。現在は超低金利ですからこの比較で十分ですが、今後の金利はどうなるか分かりません。でも、かなりの高い確率で平均余命より前に損益分岐点が来るでしょう。Aさんはこの損益分岐点を見て、老後の支払いがなくなる60歳払込を選択することにしました。


年齢、性別で異なる損益分岐点

では、Aさん以外の人の損益分岐点はどうなるのでしょうか。Aさんと同じS社で年齢と性別を変えて計算すると次のようになりました。

<終身払いと60歳払込の総支払保険料の損益分岐点年齢>
  男性 女性
30歳 71歳2か月 73歳2か月
40歳 73歳5か月 76歳6か月
50歳 75歳9か月 79歳6か月

このように、加入年齢が高いほど、損益分岐点年齢が高くなっていきます。男性は10歳ごとにおおむね2年ずつ、女性は10歳ごとにおおむね3年ずつ高くなっています。また、男性と女性を比べると女性の方が平均余命が長いこともあり、女性の方が損益分岐点年齢は高くなります。他の保険会社で計算しても損益分岐点年齢は多少前後しますが、おおむね同じような傾向となります。

この結果から男女ともに加入年齢が若いほど60歳払込満了のような短期払い込みを選択した方が有利と言えそうです。


途中で解約する可能性はないか要チェック

もちろん終身医療保険の保険料の払込方法を選択するポイントは損益分岐点だけではありません。年金生活になっても保険料を払い続けるのか、途中で見直したり解約する可能性はないのか、といったポイントも考える必要があります。

老後のことを考えると、やはり老後の保険料支払いの必要がない短期払い込みの方が理想です。ところが、途中で見直したり解約する可能性を考えると終身払いの方が有利になるケースが多くなります。

最近は解約返戻金のない終身医療保険が増えています。そうすると、途中で解約しても何もお金は返ってきません。そこそこ高い保険料を払ったのに、解約すると何も返ってこないという事態が想定されるのです。

今後も公的な健康保険制度の改正が続くと予想されますし、それとともに新しい医療保険も開発されるでしょう。それでもずっと続けていくというなら短期払い込み、解約して入りなおす可能性が高いと考えるなら、終身払いという考え方で選ぶといいでしょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター、監修:ワイズ・インシュアランス株式会社)


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