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保険通信 - プロがお届け! お役立ちコラム

10年以内に解約すると損って本当?

2009年05月25日
10年以内に解約すると損って本当?
「10年以内に解約すると損と聞いたのですが」とAさん。Aさんは5年前に加入した養老保険を解約しようか悩んでいます。貯蓄代わりに加入したそうですが、計算してみると支払う保険料の総額よりも、もらえる満期金が少ないことに気が付いてショックだったそうです。そこで、解約しようと手続きに行ったところ「解約すると損」と言われ書類だけ持ち帰ったそうです。本当に損してしまうのでしょうか。

養老保険ってどんなもの?

Aさんは加入している養老保険を解約すると「解約返戻金」を受け取り、契約が消滅します。解約返戻金は、保険会社が将来の保険金支払いに備えて積立てたお金から支払われます。

養老保険は保険期間内に死亡(もしくは高度障害状態)すれば死亡保険金が受け取れます。これだけであれば普通の定期保険と同じですが、養老保険は満期になっても生存していれば満期保険金がもらえる保険です。つまり、死亡されても、ご存命でもどちらでも保険金が受け取れる保険というわけです。払った保険料が掛捨てにならないのでうれしい保険ですが、当然ながら保険料は高くなります。


保険が元本割れになる理由

Aさんは20年満期の養老保険500万円に加入しています。月の保険料は20845円。この保険料を20年間払い続けると総額は500万2800円。いわゆる元本割れの保険だったのです。

Aさんが5年間に払った保険料の総額は125万700円です。一方で解約返戻金は約105万円。いま解約すると20万円近くマイナスになってしまう計算です。マイナスになるとは思っていたそうですが、この数字を見るとさすがに損だと思ったそうです。貯蓄がわりと聞いて加入した保険なのに、どうしてこんなにマイナスになるのでしょうか。

(理由1)保険料に含まれる付加保険料
貯蓄型の保険とはいえ、毎月払っている保険料がすべて積立てられるわけではありません。満期保険金や死亡保険金のための純保険料だけでなく、保険会社の事業費として付加保険料も支払っています。この保険は保険料のうち1割強が付加保険料と推定されます。

残りの9割弱がいわゆる保険に使われますが、さらに保険期間中に死亡した人のために使われるお金も差し引かれます。これだけ差し引かれるので、運用益がほとんど期待できない契約初期段階では、大幅な元本割れを起こしやすくなります。

(理由2)解約控除
大幅な元本割れになる理由はもう一つあります。一般的に10年以内に解約した場合、保険会社が将来の保険金支払いに備えて積立てたお金がそのまま返ってくるのではなく、一定額が差し引かれて返ってきます(保険期間が10年以上の契約)。これが解約控除と呼ばれる仕組みです。

保険契約は新契約を獲得するためにコストがかかります。短期間で解約されてしまうと、その営業コストを回収できなくて困ります。そこで、積立てたお金から使った営業コスト分は回収させてください、という仕組みが解約控除なのです。

解約控除は一般的に契約直後の額が一番大きく、そこから年々額が小さくなっていき、10年経過後は解約控除がなくなるようになっています。ちなみに、Aさんの契約の解約控除額を推定すると4万7千円程度(契約後5年経過時点)と計算されました。Aさんが10年以内に解約すると損と言われたのは、この解約控除額を意識したアドバイスだったと思われます。


どちらがトクかよく考えて早めの決断を

元本割れについて保険会社に言ったところ、「死亡すれば保険金がもらえるのだから仕方ない」と言われたそうです。でも、Aさんはあくまで「貯蓄がわり」にと言われ加入したので納得がいきません。「貯蓄がわり」に考えているなら、契約する前に必ず支払う保険料の総額ともらえる保険金の総額を比較して判断するようにしましょう。

Aさんは思い悩んだ結果、この養老保険を解約することにしました。解約して受け取る100万円あまりの解約返戻金を、住宅ローンの繰上返済に充てることにしたからです。その繰上返済によって得られる利息の軽減効果を試算すると約137万円にもなりました。繰上返済をするのは早ければ早い方が効果は大きくなります。Aさんのように繰上返済資金にしようと考えるなら、どちらがトクかよく考えて早めに決断した方がいいでしょう。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター、監修:ワイズ・インシュアランス株式会社)


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