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隣の家からもらい火!どうしてくれるの!

2015年10月23日
隣の家からもらい火!どうしてくれるの!

2015年8月25日、愛知県豊田市のある家で火災が発生しました。この家は以前からゴミ屋敷として有名で、多くのトラブルを抱えていました。火災の原因は蚊取り線香の火が周囲の新聞などに燃え移ったこと。そしてなんと問題の家だけでなく、両隣の家も全半焼してしまいました。両隣の家は以前から火災の危険なども認識していたでしょう。それなのにもらい火で被害を受けたのですからたまったものではありません。両隣の家はどのような補償をしてもらえるのでしょうか。


もらい火で火災になったのに火元に責任を問えない?

隣の家の火災が原因で被害を受けたのですから、当然ながら補償を受けられると思われます。実際に私たちが生活していく上での利害を調整するために定められている民法には次のように定められています。

民法第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

この条文を読むと、火元となった家主は被害を受けた両隣の家の損害を賠償する責任がありそうです。
ところが、わが国にはこうした近隣への延焼に対し次のような法律が定められています。

失火ノ責任ニ関スル法律

民法709条ノ規定ハ失火ノ場合ニ適用セス。但シ失火者ニ重大ナ過失アリタルトキハ此ノ限リニアラス。

いわゆる失火責任法という法律で、失火の場合には前述の民法709条の損害賠償義務の規定は適用しないとなっているのです。
普通に考えると被害を受けた方から見ると、不合理でとんでもない法律に見えます。
どうしてこんな法律が存在するのでしょうか。

この法律ができたのは明治32年。とても古い法律です。このころの住宅は木造住宅ばかり。しかも都市部では木造建築が密集している様子が思い浮かぶでしょう。そんな都市部でひとたび火災が発生すれば、次々と近隣に延焼して広範囲な被害になることがよくありました。
そうなると、火元の責任を問えば、当然ながら責任が重くなってしまいます。

そのため、単なる過失による火災(失火)の場合には火元には責任を問わないことになったのです。


自分の火災保険でカバーするのが基本

この法律で火元の家主は救われるとしても、類焼被害者となった隣家の人たちはたまったものではありません。
どうしたらいいのでしょうか。

こうした場合は、自分が加入している火災保険で補償してもらうのが原則となります。
火災保険に加入していれば類焼被害を受けたとしても、被害の程度に応じて補償を受けることができます。

ただ、古い家などは火災保険に加入していないケースも多いもの。そうなれば当然火災保険からの補償は受けることができません。
また、仮に加入していても、建物だけに加入して、家財は加入していないということも。
保険金が支払われても、被害額に比べて補償が小さいということも起こりやすくなります。


重過失が認められれば責任を問うことができる

万一、類焼被害を受けた隣家が火災保険に加入していなければどうしたらいいのでしょうか。
確かに失火責任法によって、失火の場合には責任を問われないとしてもあきらめる必要はありません。
もう一度、失火責任法を読むと、火元に重大な過失があればこの規定が適用されないとも書いてあります。
今回の火災の原因は蚊取り線香の火が周囲の新聞などに燃え移ったこと。
このことが重大な過失に該当すれば火元の家主に責任を問うことができるかもしれません。ただ、この重大な過失が認められるかどうかは判断が難しいところです。
過去の判例を調べていくと、重大な過失が認められたケースがいくつかあることが分かります。
今回の火災に参考になりそうなケースでは以下のようなものがあります。

●ニクロム線が露出している電熱器を布団に入れ、こたつとして使用し布団に引火し火災が発生。

●石炭ストーブの残火のある灰を段ボール箱に投棄した結果、段ボール箱に引火し火災が発生。

●電気コンロを点火したまま就寝。ベットからずり落ちた毛布が電気コンロにたれさがり、毛布に引火し火災が発生。

●台所のガスコンロにてんぷら油の入った鍋をかけ、加熱したまま台所を離れている間にてんぷら油に引火し火災が発生。

●寝たばこの火災の危険性を認識していたにも関わらず、何ら対応策を講じず寝たばこを続けて火災が発生。

●石油ストーブの近くに蓋のしていないガソリン入りのビンを置いていたところ、ビンが倒れて火災が発生。

●石油ストーブの火を消さずに給油していると、こぼれた石油にストーブの火が燃え移り火災が発生。

これらを見ていくと、容易に火災が発生することが予測できるのに、十分に注意義務をはたさず、非常識と言える行動をとったと言える場合は重過失が認められる可能性が高いと言えるでしょう。
今回の火災は、ゴミ屋敷となっていたことで以前から火災の危険も指摘されており、その中で蚊取り線香を使用していたということで、重過失が認められるかもしれません。ゴミ屋敷の家主にどれだけ資力があるかわかりませんが、少しでも多く補償してもらうために、類焼被災者は火元の家主の土地の仮差押の申し立てするなど対策を講じる必要があるでしょう。


火災保険は自分の財産を守るための保険

多くの人にとって、自分の資産の大部分を占めるのが住宅です。
今回の火災のように自分に責任がなくても火災が起こることはあります。
自分に責任があればあきらめることもできるかもしれませんが、もらい火で火災となればあきらめることはできないでしょう。また、あきらめたとしても生活は困窮するはず。 住宅ローンを抱えていればなおさらです。
ここで見てきたように住宅を持つ人にとって火災保険は自分の財産を守るとても大切なものです。
これを機会に、自分の火災保険の加入状況を確認し、不足があればしっかりカバーできるよう加入をしておきたいものです。
また、最近は自分が火元になってしまった場合に、類焼被災者に対して補償ができるよう類焼損害補償特約が多くの保険会社で販売されています。
ここで見てきたように失火責任法により失火であれば基本的には責任を逃れることができます。
ところが、近隣の人とはその後もおつきあいする必要があるわけで、特に損害がカバーできない隣人がいれば元の通りのおつきあいを維持するのは難しいでしょう。
また、重過失であれば類焼被災者の損害を賠償する必要があります。
こうした場合でも頼りになる補償です。
注意をしていても自分が火元になる可能性は当然あります。
火災保険を検討する際には、せっかくですから類焼損害補償特約にも注目したいですね。



藤川太(家計の見直し相談センター) 執筆:藤川太家計の見直し相談センター
ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来10000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。
2008年10月、簡単書き込みで家計がみるみる生まれ変わる資産マネジメント手帳『貯まる!資産3倍手帳』を出版。 その他の著書として『サラリーマンは2度破産する』などがある(共に朝日新聞出版)。



(情報提供:家計の見直し相談センター、監修:ワイズ・インシュアランス株式会社)


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