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「シニアの情報機器使用に関する調査」結果 ―携帯電話の使用58.4%、PCは51.2%―

2007年3月26日

第一生命経済研究所は、全国に居住する50〜79歳の男女780人を対象に、『シニアの情報機器使用に関する調査』を実施した。それによれば、携帯電話の使用割合は58%、パソコンは51%と、今やシニアの半数以上が使用しており、92%が携帯電話を、88%がパソコンを、実際に役立っていると感じている。今後使ってみたい割合は、携帯電話31%、パソコン44%と、パソコンへの需要の方が高い。情報機器が社会に及ぼす影響として、「生活が便利になる」(88%)、「災害時に役立つ」(83%)、「情報の地域差が小さくなる」(74%)などのメリットが多い一方で、「有害な情報がはんらんする」(71%)、「犯罪が増える」(68%)、「マナーが悪い人が増える」(62%)などのデメリットも7割前後と多い。

【調査の概要】
アンケートの実施概要は次のとおり。
▽調査地域と対象:全国に居住する50〜79歳の男女
※本調査では、50〜79歳をシニアと定義し、一般的に高齢者といわれている65歳以上の層(65〜79歳)と、それ未満の層(50〜64歳)の二つに分けて分析した。
▽サンプル数:780人
▽サンプル抽出方法:第一生命経済研究所生活調査モニター
▽調査方法:質問紙郵送調査法
▽実施時期:2005年11月
▽有効回収数(率):731人(93.7%)
▽回答者の属性:(単位:人)50〜64歳=371人(男性178人、女性193人)、65〜79歳=360人(男性183人、女性177人)、合計=731人(男性361人、女性370人)


携帯電話とパソコンの使用割合と使用目的

現在、携帯電話やパソコンを使っているかどうか、を尋ねたところ、全体では、携帯電話は58.4%、パソコンは51.2%と、50歳以上のシニアの半数以上がこれらの情報機器を使用していることが分かった。

性別に見ると、携帯電話、パソコンともに、使用割合は女性よりも男性の方が高い結果になった。特に、パソコンでの男女差は大きく、その差は20ポイントを超えている。

職業の有無別に見ると、携帯電話、パソコンともに、使用割合は無職よりも有職のシニアの方がそれぞれ25ポイント程度高いことが見て取れる。

年齢層別に見ると、年代が高いシニアよりも低いシニアの方が、携帯電話とパソコンそれぞれの使用割合は高くなっている。

また、携帯電話やパソコンを使っているシニアに対し、この1年間で仕事と仕事以外、どちらの目的で使ったか、を尋ねたところ、「仕事の目的」で年1回以上使った割合は、携帯電話(53.6%)、パソコン(52.9%)ともに過半数を占めた。一方、「仕事以外の目的」で年1回以上使った割合は、携帯電話、パソコンともに約95%だった。


携帯電話とパソコンの役立ち度

携帯電話やパソコンを使っているシニアに対して、それらが自分の生活にどの程度役に立っているか、を尋ねたところ、全体を見ると、携帯電話、パソコンともに「役立っている」割合は6割弱、「どちらかといえば役立っている」割合は3割強で、両者を合わせた割合は、携帯電話92.7%、パソコン88.0%と、ともに9割前後だった。

これは、年齢層別で見てもほとんど差がない。つまり、年齢を問わずにほとんどのシニアは、携帯電話やパソコンが生活に役立っていると考えていることが分かった。


メールやホームページ接続の頻度

携帯電話、パソコンを使っているシニアに対して、メール送受信、およびホームページ接続をこの1年間にどの程度行ったか、を尋ねたところ、年1回以上(「1日1回以上」から「年1回以上」の合計)行った人の割合を見ると、「携帯電話でのメール送受信」「パソコンでのメール送受信」「パソコンでのホームページ接続」の割合は、いずれも7割台だった。また、これら三つを週1回以上(「1日1回以上」と「週1回以上」の合計)行った割合は過半数、「1日1回以上」行った割合はそれぞれ3割弱もおり、ヘビーユーザーも少なくないことが分かった。また、これら三つに比べて、「携帯電話でのホームページ接続」の頻度は低いことが見て取れる。

週1回以上行った割合を年齢層別に見ると、いずれも50〜64歳の年代が低いシニアの方が高いことが見て取れる。このことから、年代が低いシニアの方が、より日常的にメールやインターネットを活用しているといえる。


ホームページ接続の目的

携帯電話やパソコンでのホームページ接続を年1回以上行ったと回答したシニアに対して、具体的に何を行ったか、を複数回答で尋ねた。

携帯電話では、『情報収集』に関しては、「趣味・レジャーに関する情報を調べる」(49.5%)が最も多く、次いで「ニュースや天気予報を見る」(43.2%)、「交通機関の時刻や経路などを調べる」(42.1%)も4割台となっている。『各種取引・手続』に関しては、「懸賞・アンケートなどに応募する」(23.2%)が最も多く、次いで「宿泊施設を予約する」(22.1%)、「商品を買う」(20.0%)という結果となった。

パソコンでは、『情報収集』に関しては、携帯電話と同様に「趣味・レジャーに関する情報を調べる」(78.2%)が最も多く、次いで「地図を検索する」(69.7%)、「交通機関の時刻や経路などを調べる」(68.4%)が7割弱となっている。『各種取引・手続』に関しては、上位3項目は携帯電話と同じく、「懸賞・アンケートなどに応募する」(38.4%)、「商品を買う」(33.0%)、「宿泊施設を予約する」(32.7%)だった。その一方で、若い世代で盛んな掲示板への書き込みやホームページの公開などの『情報発信』については、携帯電話、パソコンともにまだ少数派であることが見て取れる。


メールの相手別頻度

携帯電話でのメールの相手を見ると、「同居している子ども」や「別居している子ども」の割合(年1回以上:77.3%と83.3%、週1回以上:48.3%と45.5%)が特に高く、同別居を問わず子どもと携帯電話でメール交換するシニアが多いことが示されている。

一方、パソコンでのメールの相手を見ると、やはり「別居している子ども」(年1回以上:62.9%、週1回以上:19.6%)が多い一方で、「趣味・サークルなどの友人・知人」(年1回以上:61.2%、週1回以上:18.7%)もこれに並んでいる。

年齢層別に見ると、携帯電話でのメールを週1回以上行った割合は、「配偶者」と「仕事関係の人」では50〜64歳のシニアの方が高くなったが、それ以外ではほとんど差がなかった。また、パソコンでのメールを週1回以上行った割合は、50〜64歳のシニアの方が高いのは「仕事関係の人」で、それ以外は65〜79歳の方が高いことが見て取れる。

これらから、メールの頻度は全体的には50〜64歳のシニアの方が多い半面、相手別に見ると仕事関係か配偶者が多いだけで、仕事を引退した世代の方が、メール、特にパソコンのメールは必要に迫られてではなく、楽しみのために使っているのではないかと考えられる。


メールによって親密になった相手

携帯電話、パソコンでのメール送受信を年1回以上行ったと回答したシニアに対して、それらを行うことによって親密になったと思う相手は誰か、を複数回答で尋ねた。

携帯電話でのメールによって親密になった割合が最も高いのは、「別居している子ども」(49.8%)で、次いで「同居している子ども」(34.1%)、「趣味・サークルなどの友人・知人」(31.6%)だった。「配偶者」や「同居している子ども」と親密になった割合は、メールの頻度の多さに比べると低いことが見て取れる。また、別居の家族や友人などとのメールは親密度を高めるのに大きな役割を果たしているのに対し、同居の家族とのメールは実用的な連絡手段という意味合いが濃いことがうかがわれる。

一方、パソコンでのメールによって親密になった相手も、「別居している子ども」(26.8%)の割合が高い結果になったが、「趣味・サークルなどの友人・知人」(33.5%)の割合は、これをさらに上回った。

携帯電話とパソコンを比較すると、メールを通じて親密度が高まった割合は、「趣味・サークルなどの友人・知人」を除き、携帯電話の方が高い傾向にある。つまり、全体的には、携帯電話でのメールの方が、家族や友人との親密度を高めているといえる。

年齢層別に見ると、携帯電話、パソコンともに、「同居している子ども」と「仕事関係の人」と親密になった割合は50〜64歳のシニアの方が高く、「別居している子ども」「別居している家族・親戚」「趣味・サークルなどの友人・知人」「近所の人」の割合は、65〜79歳のシニアの方が高いことが分かった。


携帯電話やパソコンを使わない不便さ

携帯電話やパソコンを使っていないシニアに対して、それらを使わないことによって不便・不利な体験をしたことがあるか、を複数回答で尋ねた。

携帯電話を使わないことによる不便・不利な体験では、割合が高い順に「家族や友人から連絡を取りづらいと言われた」(29.9%)、「時代に取り残されていると感じた」(25.7%)、「連絡が遅れたり来なかったりした」(20.7%)となっていた。

一方、パソコンを使わないことによる不便・不利な体験では、「時代に取り残されていると感じた」(43.4%)の割合が最も高く、次いで「欲しい情報を手に入れにくかった」(28.3%)、「使っている人の話題に入りづらかった」(21.8%)となっている。

つまり、携帯電話やパソコンを使用していないと、意識の面では時代に取り残されたと感じ、実質的な面では携帯電話の場合は周囲とのコミュニケーションに、パソコンの場合には情報入手に支障が生じることがあるといえる。


携帯電話やパソコンを今後使ってみたいと思うか?

携帯電話やパソコンを使っていないシニアに対して、それらを今後使ってみたいと思うかどうか、を尋ねたところ、今後使ってみたいと思う(「思う」と「どちらかといえば思う」の合計)割合は、携帯電話では31.6%、パソコンでは44.0%と、パソコンに対する需要の方が高いことが分かった。

年齢層別に見ると、携帯電話、パソコンともに、今後使ってみたいと思う割合は、50〜64歳の年代が低いシニアの方が、65〜79歳の年代が高いシニアを大きく上回っている。また、パソコンに関しては、50〜64歳では過半数、65〜79歳でも約4割が今後使ってみたいと考えている。


情報機器が自分に及ぼす影響

携帯電話やパソコンなどの情報機器を使うことは、自分にどのような影響を及ぼすと思うか(使っている人は実際に影響があるか、使っていない人はもし使ったら影響があると思うか)、を尋ねたところ、それぞれの項目に対し、そう思う(「思う」と「どちらかといえば思う」の合計)割合が最も高いのは「情報を得やすくなる」(91.7%)で、次いで「知識が増える」(75.1%)、「個人情報流出への不安が増える」(73.9%)、「老化防止に役立つ」(72.1%)が7割台と、上位には“個人情報流出への懸念”を除いてプラスの影響に関する項目の方が多いことが見て取れる。これらから、全体的には、情報機器を使用することによる自分への影響を肯定的にとらえている。

年齢層別に見ると、全体的には、65〜79歳よりも50〜64歳のシニアの方がプラス項目の割合は高く、マイナス項目の割合は低い傾向がある。


情報機器の普及が社会に及ぼす影響

携帯電話やパソコンなどの情報機器が普及することは、社会にどのような影響を及ぼすと思うか、を尋ねたところ、そう思う(「思う」と「どちらかといえば思う」の合計)割合が高い上位4項目は、「生活が便利になる」(88.5%)、「災害時に役立つ」(83.7%)、「情報の地域差が小さくなる」(74.1%)、「高齢社会に役立つ」(71.5%)といったプラスの影響に関する項目が占めた。

マイナスの影響に関する項目として、「有害な情報がはんらんする」(71.3%)、「犯罪が増える」(68.8%)が次いで多く、これら以外にも、「マナーの悪い人が増える」(62.2%)、「青少年に悪影響を与える」(61.8%)は6割を超えていた。

《年配者の間でもさらに普及へ》

今回の調査について、水野映子研究開発室副主任研究員は次のようにコメントしている。

この調査では、情報機器、特に、携帯電話とパソコンがシニアの生活に与えるプラスとマイナスの影響について、意識面と実態面から探った。

情報機器を使用しているシニアに与えるプラスの影響としては、「情報を得やすくなる」「生活が便利になる」などの一般的な効用のほか、「高齢社会に役立つ」「老化防止に役立つ」といった高齢者の生活に関連のある効用を多くのシニアが感じていた。

また、それとは逆にマイナスの影響もあり、個人情報の流出、ネット犯罪などのセキュリティー面に対する不安や、情報の洪水に埋もれることへの懸念は、多くのシニアが抱いている。情報機器が多くのシニアに受け入れられるためには、それらのメリットを強調するだけではなく、デメリットを少なくし、不安や不満を解消することも必要だ。

情報機器を使用しているシニアの多くは、趣味の仲間とメールを通じて親交を深めたり、ホームページで趣味の情報を得たりなど、趣味に関するネットワーク構築や情報収集に活用している。つまり、情報機器は、定年や子どもの巣立ちなどで生きがいを失ってしまいがちなシニアにとっての、新たな生きがいづくりに貢献している。

また、人間関係の面では、趣味の関係以外にも、メールなどを活用して友人・知人や家族・親戚との親密度を高めている。中には、“情報機器の普及が人間関係を希薄にする”といった否定的なとらえ方をする人もいるが、人間関係構築の一助となっていることは間違いない。

これらから、社会との接点が少なくなりがちなシニアにとって、情報機器は人間関係を広げ、深める上で有用である、と考えられる。特に、別居している子どもとメールを通じて親密になったシニアが多いという結果は、離れて住む子どもとの心理的距離を情報機器が縮めていることを示している。

その一方で、情報機器を使用していないシニアは、こうしたメリットを享受できないだけでなく、不便さや不利益を被ることすらある。情報機器を使わないことで連絡が滞ったり、欲しい情報が手に入りにくい経験をしたシニアは少なくない。情報機器を使用しない人は、コミュニケーションや情報入手が妨げられている、という結果は、この調査で改めて浮き彫りになった「デジタル・ディバイド」(情報格差)の一つだ。

また、全体的には、65歳未満のシニアよりも、65歳以上の高齢なシニアの方が、情報機器の使用率や使用意向は低く、情報機器が自分に及ぼす影響も否定的にとらえている。この背景には、情報機器の活用能力や学習機会などの差がある、と考えられる。

しかしながら、65歳以上のシニアの人が、相手によってはメールを頻繁に使って親密度を深めていたり、情報機器を使用することで病気や災害の時などの不安が減ると考えていたりする。人間関係の維持・形成や、安全確保などの面で情報機器をもっと生かしたいというニーズは、潜在的にはあるのかもしれない。

将来的には、“団塊の世代”を中心とした世代がより高齢になるにつれて、情報機器は年配者の間でもさらに普及していくと考えられる。今後、シニアの情報機器使用の状況や意向がどのように変化していくのか、注意深く見守りたいと思う。


記事提供:保険毎日新聞 2006年9月1日掲載分より


(監修:ワイズ・インシュアランス株式会社)


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